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Home / 恋愛 / 強引な後輩は年上彼女を甘やかす / 01_7 歓送迎会 姫乃side

01_7 歓送迎会 姫乃side

Author: あさの紅茶
2025-04-09 16:03:23
「はぁー」

帰りの電車の中、思わずため息が漏れた。

彼氏って、どうしたらできるんだろう?

ガラス越しに映るカップルをチラリ盗み見しながら、私はまた大きく項垂れる。

世の中にはこんなにもカップルで溢れているのに、私はいつになったら彼氏ができるのだろう?

もう一度ため息が出そうになったとき、タイミングよく電車が揺れ、私はバランスを崩して目の前のガラスへ頭をぶつけた。

「いたっ!」

鈍いゴチンという音と私の小さな悲鳴は、一瞬のうちに電車内の乗客の視線を集める。

恥ずかしさと痛さで頭を押さえながら、隠れるように慌ててうつむいた。

「大丈夫ですか?」

ふいに声をかけられ振り向くと、そこには心配そうに覗き込む大野くんがいて、驚きのあまり心臓が跳ねた。

「……だ、だいじょうぶ」

と言ってみたものの、知り合いに見られていた羞恥心で一気に顔が赤くなるのがわかる。

「お、同じ電車だったんだね」

「姫乃さん案外どんくさいですね。飲み会中、なんか無理してる感ありましたけど、悩み事でもあるんですか?」

悩み事ならあります!

と心の声が叫んでいるけれど、“どうしたら彼氏ができるのか”なんて事を大野くんに言えるはずがなく、私は愛想笑いを浮かべた。

「えっ? いや? ないよ。大丈夫。ちょっと飲み過ぎたのかなー? えへへ」

「じゃあ彼氏に迎えに来てもらえばいいじゃないですか?」

愛想笑いでごまかそうとしたのに、大野くんはしれっとした顔で心臓に悪いことを言う。

「えっ、うん、そうかな? そうだよね? でも忙しいかも?」

上手く受け答えができず、しどろもどろになってしまう。

ちょうど駅に到着するアナウンスがあり、私はそそくさと降りる準備をした。

「私、駅ここだから、じゃあね」

「俺もここです」

「えっ?」

扉が開くと同時に大野くんが降りる。私もその後を追うように、急いで降りた。

「姫乃さんって最寄り駅ここでした?」

「うん、最近引っ越したんだ」

「ふーん」

電車を降りて改札口まで一緒に歩く。

そこで別れるものだと思っていたのに、大野くんは私の帰り道と同じ道を歩いていく。歩道には桜の木が植わっていて、満開の桜が風に揺れている。

「大野くん家こっちなの? 方面一緒だね。全然気付かなかったなぁ」

といっても、私はまだ二週間前に引っ越してきたばかりだ。近所の事はまだよくわかっていないし、会社
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